溶接と溶射の違いとは?
肉盛溶接とは
肉盛溶接は、ガス溶接、プラズマ溶接、アルゴン溶接などの溶接手法により基材に別の金属や合金を溶融被覆することで、部品を補強したり、寸法を復元したりする技術です。当社の硬化肉盛溶接は基材に被覆する材料を、利用される環境や使用条件において耐性のある材料を使用することで耐久性の向上を目的に行います。
溶射とは
溶射は、各種熱源を利用し目的の材料を溶融させながら吹付けることで、皮膜を形成する表面改質技術の一種です。溶射方法には数種類あり、使用する材料や目的に応じて適切な施工方法で行います。当社では主に自溶性合金の溶射を行っており、基材に溶射材を吹付けた後に溶融処理を行なうことで、溶射層が溶融した金属層となり高密着で気孔のない金属層が得られます。
肉盛溶接
酸素アセレチン
特徴
アセチレン過剰炎による基材表面の「汗ばみ」現象を利用し溶着していく施工方法です。 台金の溶け込みが5%以下と非常に少なく、溶け込みによる肉盛材料特性の劣化が少ないため、肉盛材料の特性を活かしやすいのが特徴です。
作業は熟練が必要なため、作業者の『ウデ』が品質に影響するところがあり、品質の再現性が人に依存してしまうところがあります。
特に高い耐摩耗性の要求がある製品に適しており、品質面では、創業以来、日々『ウデ』に磨き、評価いただける製品をご提供いたします。
PTA(粉体プラズマ自動溶接装置)
特徴
高エネルギーを持つ移行性プラズマアークを熱源に、 粉末材料を溶融し溶着していきます。
自動制御により、高効率で高品質な肉盛層を得ることができます。溶接条件を数値管理することができるため、品質の再現性が高く、バラツキを控えることが可能です。
特に量産品や肉盛量の多い製品に適し、複合材など、肉盛材料を幅広く扱うことが可能です。
西山金属では、内径肉盛用、外径肉盛用の設備を保有し、最小内径φ50×900、最大外径φ2000、長さ7000mmまで施工実績があります。
TIG溶接
特徴
広く利用されているアルゴン溶接による溶接方法で、酸素アセチレン法に比べ、台金の溶け込み量が大きい為2~3層の積層が必要となります。汎用性が高いため異形状の溶接を行う場合や、予熱温度が低くても作業可能なため、材料特性上低温溶接が必要な場合には必須な施工方法です。
多関節溶接ロボット
特徴
Mig、Mag溶接用ロボットによる硬化肉盛では、インコネルやハステロイなどのNi合金や、Fe-Cr合金などの汎用的な溶接材料も扱うことが可能です。
時間当たりの溶着量が多いため、コストメリットが得やすく、汎用材料量を使用した量産品や広範囲の肉盛溶接に適しています。
溶射
粉末式フレーム溶射
特徴
粉末式フレーム溶射は、熱源にアセチレンガスと酸素を用いて粉末材料を溶融させ圧縮空気とともに高速で基材に衝突させて積層し皮膜を形成します。
熱間溶射材料
熱間溶射の特徴として、溶射後に溶射材を溶融させる再溶融処理(フュージング)を行うことにより、基材との間に合金層を形成し、無気孔で強密着の溶射皮膜を得ることができます。
自溶性合金はCo基、Ni基、WC合金等があります。
取り扱い素材について
ステライト | コバルトを主成分とし30%程度のクロム、4~15%のタングステンを含み、その他モリブデンや炭素などを含む合金です。摩擦係数が低く、耐磨耗性・耐腐食性・耐高温耐摩耗性に優れており、これらの特性をバランスよく持っているのが特徴です。 HRC35~55までNo.21、No.6、No.12、No.1、No.20の5種類が標準的なライナップとなっており、その他に特殊品が数種類ありますが、用途に応じ最適な材料をご提案いたします。 |
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トリバロイ | コバルト基、ニッケル基が主成分となり、ステライト同様に高い耐摩耗性や耐腐食性を持っていますが、モリブデンの含有量が高く、特に高温高圧化での金属間のかじりなどの凝着磨耗対策として有効です。 HRC55~60まで、T400、T800の2種類のライナップが標準です。 |
コルモノイ | ニッケルを主成分とし、ボロン、シリコンを含んだ合金で溶射材料としても扱われています。ステライトやトリバロイと同様に、低摩擦係数で高い硬さを持っています。特に融点が低いことと自溶作用による結合のため、FC材など、溶接による硬化肉盛が困難な材料への適用として有効です。 HRC40~60まで#4、#5、#56、#6の4種類のラインナップが標準です。 |
その他 | インコネル、ハステロイ、チタン合金、アルミブロンズなどの溶接も行っております。 鉄基合金などの汎用硬化肉盛にも対応いたしますので、ご相談ください。 |
- ※インコネル® 、インコロイ®、モネル® はスペシャルメタルズ社の登録商標です。
- ※ハステロイ®はヘインズ インターナショナル社の登録商標です。
- ※ビシライト®は株式会社プロテリアルの登録商標です。
- ※ステライト®、トリバロイ®、デロロ®、ナイステル®、デルクローム®はケナメタルステライトグループの登録商標です。
- ※コルモノイ®はウォールコルモノイ社の登録商標です。